●ゲーム
Demons Roots
長らく人間に虐げられてきた魔族が奴隷と手を組んで反旗を翻すという話。
支配者と被支配者という対立構造を軸として展開していくが、そこへ共存や寛容性の問題も織り交ぜながら種が生き残る方法を模索している。
個人で作ったとは思えないほどクオリティの高い作品。
Inscryption
カードゲーム+謎解き+メタフィクション。
デジタルカードゲームの隆盛によりプレイヤー同士のやり取りが限定され、カードゲームは殊更に”勝ち負け”にフォーカスが当てられるようになったが、本作では勝負の中にある過程をもう一度見つめ直そうとしている。
すべてのカードゲーマーやカードゲームから離れてしまった大人へ向けた作品。
グノーシア
SF+ループもの+人狼ゲーム。
参加者の情報を得ることで話が進展することから、こちらも人狼ゲームそのものというよりは、人狼ゲームを通して得られるものを描こうとしているように感じた。
●本
蒼海館の殺人
前作「紅蓮館の殺人」の続編。
探偵の挫折と再生を描くと同時に、一蓮托生であるワトソンの在り方にも触れている。
家族関係をテーマとしながら、事件自体はそのコントロールの奪い合いを呈すなど屈折した内容となっている。
黒牢城
時代小説+ミステリ。
信長に対して謀叛を起こした有岡城の戦いが背景となっている。
歴史が証明している通り村重は敗北するのだが、戦国の世の理に反した彼のやり方がどのような結末をもたらしたのか、ということが当時の人の価値観を混じえながら描かれている。
兇人邸の殺人
「屍人荘の殺人」シリーズの第3弾。
今度は人体実験によって生まれた巨人と屋敷の中に閉じ込められるという内容。
屍人荘の殺人と似たような展開に回帰し、本格ミステリというよりはSFサスペンスホラーに舵を切ったように感じる。
「medium 霊媒探偵城塚翡翠」に登場した城塚翡翠の倒叙中短編集。
倒叙と言えば、刑事コロンボや古畑任三郎だが、本作は明らかに古畑任三郎のオマージュである。
そのうえで捻りを加えたラストの展開はかなりの荒業。
僕が答える君の謎解き 明神凜音は間違えない
僕が答える君の謎解き2 その肩を抱く覚悟
これまでラブコメと広義のミステリが合わさった作品はあっただろうが、ラブコメとクイーン式の本格パズラーが融合した作品はなかったと思う。
その意味で本作は革新的と言える。
特に僕が答える君の謎解き2に収録されている「一年七組とたったひとりの正直者」は出色の出来。
●アニメ
下ネタギャグ漫画家がその事実を娘に悟られないように奮闘するコメディ。
全体的にまとまりが良く、細部というよりは構成の巧さが光る作品。
かげきしょうじょ
宝塚音楽学校をモデルとした劇団養成所が舞台となっている。
主人公の二人は、単に才能に恵まれているというだけでなく、歌舞伎とアイドルという異なったバックボーンを持っているというのが特徴。
1月は以上です。