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感想記

2024年 1月

◯本

 小林泰三が書いたゼロ年代ラノベって感じ。

 オチが面白い。

 

 前作でハードルが上がってしまったせいもあるが、これはあまりヒットしなかった。

 具体例は思い浮かばないが、探偵不在のミステリというテーマはおそらくそんなに新鮮ではない。

 

 時間遡行+多世界解釈本格ミステリという感じなのだが、設定が複雑。

 ゴチャゴチャしたミステリを書かせたら白井は業界ナンバーワンどころかオールタイムベストの作家かもしれない。

 

 これだったら泡坂妻夫でいいじゃんってなっちゃうんだよなあ。

 正直、カーに対するポール・アルテみたいな関係性には至れていない。

 

◯映画

 1はアクション映画として面白かったけど、2は勢いが落ちてしまって微妙。

 

 銀行強盗に失敗した犯罪者集団が「誰が裏切ったのか?」という犯人探しを延々と行うが、ミステリ的趣向はなく、何がしたかったのか読み取れなかった。

 

 観終わった後は流石に唖然としたが、ヒーローの悲哀を「感動」でまとめるのが従前の映画だとしたら、これは無理やり「笑い」でまとめた作品なのだと解釈したら腑に落ちた。

 

 長い積み重ねや決定的な出来事もなしにいつの間にか主人公の周囲の人物が協力的になっていくあたりは、ある意味でリアル。

 

エール!(字幕版)

エール!(字幕版)

  • ルアンヌ・エメラ
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 「コーダ あいのうた」の方が、演出が良かったと思う。

 

メイズ・ランナー (吹替版)

メイズ・ランナー (吹替版)

  • ウィル・ポールター
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 おそらくシチェーションだけ考えてそれ以外全部後付けのため、色々と破綻している。

 3部作らしいが2で早くも迷路が出てこない。

 

 最強だけど戦わない主人公って確かにカッコいいが、物語は展開していかない。

 

 死が永遠の孤独だとしたら生きているのも死ぬのも変わらないんじゃないかという指摘は面白い。

 

 成り上がり部活モノの王道中の王道。もうラクしてズルするのはヤメだ。

 

 意外とあっさりしていて、内容があらすじそのまんまで何の裏切りもない。

 

 物語の構造としては、再構築と解体で、そこに意味はあったのかというかなり本質的な問いがあるのだが、回答はふわっとしている。

 

 マジでよくわからなかった。

 

 ブルース・リーの扱いが酷いとかでクレームが入ったらしいが、浦安鉄筋家族見せたら卒倒するんじゃなかろうか。

 

  抑圧的な環境の中で育った子供の歪みを表現しているのか、あるいはそういった中でも抑えることができない子供の無邪気な悪意を表現しているのか。