●本
ウエルベックを読むと自分の性欲の薄さを感じる。
●漫画
既刊の20巻まで。
序盤は単なる学園ギャグ漫画だが、徐々にキャラクターたちの関係性が進展していくのが特徴。
革新派ヤクザのパーティーに二人組の透明人間の殺し屋が現れる。
5人のヤクザはそれぞれ視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚に優れ、各々の能力を活かして殺し屋と対峙するという話。
能力バトル漫画ではあるが、透明人間側の身体能力が高すぎてヤクザが単純に力負けするというパターンがほとんど。
終盤は透明人間の正体に迫るという展開で、かなり明後日の方向へむかってしまう。
人に寄生し、人を食らう寄生生物の脅威を描く一方で、他の生物に寄生しなければ生きられない矮小な存在としても描いている。
また、地球の支配者である人類へ環境問題などの責任を問うてもいるが、人間が地球視点で物事を考えるのはおこがましいとし、一人の人間が考えられるのはせいぜい自分とその周りの人間くらいのことであると諦観も示している。
●映画
他人のために自らの命を投げ出した母を理解できずにいた少女が、仮想世界での”竜”との出会いを通じて母の思いを知るという内容。
現実から解き放たれることで起こる人の再生と匿名性の高い世界での他者との距離感や現実における信頼関係を築く厳しさ・難しさが描かれている。
少女は母の死ではなく、家族よりも他人を優先した母の行為によって歪んでしまったというのがポイントで、この作品は家族や身近な存在だけではなく、どこかで助けを求めている見知らぬ誰かも含めた広い視点から語られている。
冒頭から少女と父親の不和が取り上げられているが、その解消には終盤のほんの僅かなシーンしか費やされていないことからも本作が家族をメインテーマにしていないことは明らかで、細田守の過去作と比較すると社会的・公共的な内容であると言える。
もっと爽やかな話だと思い込んでいたが、登場人物が結構打算的だし、終わり方はかなり湿っぽい。
一国の王女が市井の人間の生活を体験することで、自らの立場や責任の重さを実感する話だが、もう少し拡大解釈すると「結ばれなかった恋や楽しかった思い出は人生において無駄なのか?」という問いかけがなされているとも捉えられ、犠牲にしたものや失ったものを認識することで今という時間をより強く感じることができるという前向きな回答を示している。
●アニメ
警察モノは大きな事件の捜査を取り扱うことが多いが、本作の主人公が新人女性警官であることから巡回や交通切符を切ったりと地味な仕事を取り上げることが多い。
作者が元警察官であることからリアルな描写が多く、新人警官の苦労や警察官という仕事の過酷さがよく伝わってくる。
反面、ドラマチックな展開は少なめで、日常系の作品を見た時に近い視聴感だった。
社会福祉公社というイタリア政府の特務機関においてサイボーグ化し殺し屋としての使命を負わされた少女たちとそのパートナーである男性たちとの関係を描いた作品。
シリアスな雰囲気の作品だが、設定に必然性が感じられなかったり、主人公たちが何と戦っているのかあるいは戦わされているのかといった背景の説明が十分でないため、どこか腑に落ちないところもある。
少女たちは条件づけ、いわゆる洗脳を受け、パートナーの男性に好意を寄せるように仕組まれ、なおかつこれにより記憶の欠落が起きやすくなっており、少女たちの感情はどこまでが本物なのかというアイデンティティの問題もひとつのテーマとなっている。