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感想記

2024年 6月

◯映画

 Winnyというファイル共有ソフトを通じた著作権侵害をめぐる実際の裁判を基にしている。この映画は開発者の金子氏やその弁護団の側の視点に立って描かれ、警察側の主張や捜査の手法に疑義を呈するかたちとなっているが、近年では漫画村の件があったように違法アップロードの温床となる枠組みをつくった人間が責任を問われるケースもあるため、結果的に無罪となったとはいえ一方的な内容にするには少し説明が足りない気がした。

 

FALL/フォール

FALL/フォール

  • グレイス・キャロライン・カリー
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 ロッククライミング中に夫をなくした女性が過去を乗り越えるために友人と地上600メートルの電波塔に登るが、降りる際に梯子が崩落し取り残されてしまうという内容。塔からの脱出を描いたワンシチュエーション映画と言ってしまえばそれまでだが、地上600メートルの恐怖が存分に表現されており、また人間の死についての欺瞞、生についての本質を描いていて意外にも中身がしっかり詰まっている。終盤でちょっとしたサプライズがあるのも良かった。

 

 およそ20年ぶりの新作。流石に当時の内容はほとんど覚えてないが、本作の視聴にあたってはキャラの名前や用語をなんとなく覚えていれば支障はないと思われる。前作の後も各地で紛争は続いていて、紛争介入に追われるキラやラクスたちの前にコーディネーターを超えるアコードという人類が現れ、デスティニープラン再興のため計略をめぐらせるというあらすじだが、中身はロボットアクションというよりはラブロマンス。遺伝子レベルで通じ合う相手よりも自分の自由意志で決めた相手を選ぶことでデスティニープランというディストピアを再度否定する流れは確かに収まりが良かったが、自由恋愛で溢れた人間に対して「誰かがあなたを見ているから未来に期待しろ」というのは無責任すぎて失笑。

 

◯アニメ

 東映がかなりの資金と時間を投じてつくった作品らしい。近年稀に見るほど主張強めの主人公で、ロックンロールという題材から現代社会に対してのカウンター的な要素を多分に含んでおり、お金がかかっている割に中々挑戦的な内容だった。個人的には若い人にはこういう生き方はしてほしくないと思った。